せっかくの機会でございまするので、我が国の経済運営につきまして日ごろ考えておりますことを申し述べたいと存じます。 先進主要国におきましては、過去数年間、国内経済運営の基本目標といたしまして、インフレなき持続的成長という共通のスローガンを掲げてその実現に取り組んでまいりました。これはかつての成長政策が世界的に激しいインフレを誘発し、石油価格の高騰あるいはそれに続く長い不況をもたらしたことへの深い反省に基づいております。一九六〇年から七〇年代のアメリカなどでとられました政策は、経済成長や雇用の増加を追求する余り、少々の物価上昇には目をつぶるという、インフレに甚だ寛容な政策でありました。しかし、インフレーションを適度にコントロールする
