名前は聞いておりますが、全然会つたことも又話したこともありません。
名前は聞いておりますが、全然会つたことも又話したこともありません。
昨年の八月か九月頃だと記憶しております。
只今申し上げました通り、昨年の八、九月の頃に佐藤昇という人が警視庁であるとか消防庁であるとか、その他官庁方面に出入をしておつて好ましからざる人間であるということを私はうすうす聞いておりました。
どういうふうに出入をしておるかということは、私は存じませんが、御承知の通り警視庁の建物の中には警視庁も、消防庁も、東京都管区本部もみんなごつたになつておりますので、とにかくまああの建物に出入しておるということを薄々聞いておりました。
そういう詳しいことは私は存じません。
そういうような意味ではありませんが、とにかく何か警視庁に出入しておるということを聞いておりまりたので、私としましても警察民主化のためには、こうした官庁ボスをできるだけ排除して行くことが警察の民主化であるという考えを持ちまして、何とかしなくちやならんという考えを持つておりました。
私としましてほ、適当な方法で本人にも注意をするとか、第三者をして注意さして、できるだけ必要以外は出入を遠慮して貰つた方がいいんじやないかということは考えておりました。まだ具体的の手は打ちませんでした。
打ちませんでした。
揉消しに介在しておるかどうか存じませんが、ともかく佐藤も何か関係があつたんじやないかということは薄々聞きました。
九月だと思いましたね。
そうです。
そうであります。
それは十月頃でありましたか。松本捜査二課長及び坂本刑事部長から佐藤昇氏に関してですな、何らかの詐欺事件があるというような話を聞きましたので、徹底的に捜査しろということを命じました。
その前には聞きませんでした。
はあ。
それはこの五井産業事件が相当やかましく言われましてから承知いたしました。
存じませんでした。
その当時は受けませんでした。
吉武警部が転出いたしました理由は、当時松本課長と吉武君とは相当性格が激しい方でありまして、多少意見の相違もあるようでありましたし、又丁度異動の時期になつておりましたので、吉武警部級の者が全部警視になつて異動いたしましたので、当然吉武警部も警視に昇進いたしまして、上野の次席に転任をさせたのであります。
そういう意味合いは含まれておりませんので、要するにこの本事件につきましては、やはり捜査二課がやりますから、仮に吉武がおりましても敢えて支障はなかろうと思つております。ただ一般の異動と一諸に、当然吉武君も警視にすべき人物でありますから、これを警視として異動させたのであります。