私の部屋は使つた覚えはないと思います。
私の部屋は使つた覚えはないと思います。
勿論課長のところでは指示を仰ぐ、或いは事件については、絶えず地検と連絡しておりましたが……。
そういう点は、私は分らないのです。これは上司でないと分りません。
そういうことは分りませんですね。私は上司の決定、今日何せい、明日何せいというような指示を受けますので、私はそういうところは判然記憶しておりません。
それは検事局でもそういう意向であつたわけです。何故かというと十二月の六日頃の状況は、もうすでに一ケ月半以上も内偵に費しておるわけなんです。その間に、私の方で容疑ある事実と見たのは、今言われた三十五万円事件の問題と、仙台と北海道の詐欺問題ですね、この方が額が多いし、相当惡質になつておるが、地域の関係で証拠の蒐集、内偵というものは、相当時間も要しますし、困難なんです、どうするかというふうに課長殿と私との協議の間には、とにかくやり易いところから証拠の蒐集はしなくちやならんということの何はあつたのですが、如何せん北海道と仙台なので……。どうするかという意見はまあ出ておつたわけですね。
ところが実際の捜査に当つていないと、一般の人が聞けば、三十五万円というと大きいように思うのですが、やはりただ單に三十五万でなしにそこに附随したいろいろな事情があるわけです。捜査して見ると……。これで一体起訴に持つて行けるかどうか、或いは有罪にあらしめるかどうかというような先まで考えなければ、私らは捜査というものが進められないのです。三十五万円の問題だけはその内容から推して行つて、どうも起訴になるかならないかという境にあつたわけです。どうしても北海道と仙台、これが必ず証拠を掴むというところに持つて行かなければ、これは確実にもう間違つても起訴になるというような見通しは先ずなかつたと思う。併しその逮捕はこの三十五万円ではできるという自信は
取りました。
それはもう内偵を始めてから、もう一ケ月半以上も過ぎておる。そうしてどうも気配を佐藤がこれは感付いた、勘がいつて刑事に当らしたところが、自分の住居に寄りつかない。これはおかしい。もう感付いたと、これは一刻も早く身柄を取らなければならんというように私は考えを持つたのです。もう一日も早く逃がして置くことはこつちの負けだ。どうしても捜査を開始して、内偵を開始して、向うに感付かれて証拠湮滅をされる、或いは逃亡する、日を稼がれるということはこれは一歩私の方の負けなんです。本人に証拠湮滅をさせないうちに身柄を取つて証拠を蒐集するという、これは非常に困難があるわけですが、そこえ持つて行かなければならん。そこで私はどうしてもこれは警視庁の方にも最近は
七日です。
それで逮捕状を取つて……。
その日に取つたのです。
執行は十四日にやつたのです。
それはつまり私としては、身柄を早く取らなければいかん。北海道なり、仙台或いは京都の方に飛ばれて証拠湮滅をされては困る。先ず身体を取らなきやならない。それから刑事派遣するなり、そして証拠の蒐集にやるというふうな考えがあつたわけです。
それで課長殿にも話して、そうしてやつたところが、上司の方の意見は、それでは非常に、恐らくは短期間の間ですから、拘留というものは二十日ですから、二十七日の間にそれが果してなし得るか否かというつまり不安というか……というような懸念があつたと思うのです。その点は私共の方では私は強硬にそういう意見を申上げたまでであつて、上司の間に恐らくそういうふうな見解の相違で、そして遷延したと思うのです。逮捕せいというような指示は、令状は取つたのだけれども、その指示はなかつたわけです。
これはみんな私の方では課長の指示を受けるのです。
そういう点は私に聞いても分からんと思うのです。そこでたしか九日と思うのですが、これはまあ、とにかく令状を取つて、いつでも身柄を取れる態勢にあるわけです。直ぐに早急に被害者の証拠蒐集に当らなければならないというので、たしか九日頃ですね。北海道仙台に各三名の刑事を派遣したのです。そうしておいて大体逮捕の問題に掛かるのですが、そういう処置を直ぐとつたわけです。
そういう個人的に……それは成る程逮捕するために逮捕状を取つたのですが、そういうことは課長、係長の指示があつて初めてやるのであつて……。
その点は……。
私ら捜査前線でやつておる者は実際分らんですな。
調べというと内偵ですか。