こういう重大な問題を、おおむねということはない。一人残らず知っておるかどうかということを聞いておる。
こういう重大な問題を、おおむねということはない。一人残らず知っておるかどうかということを聞いておる。
では、従来のあなたの所管で、法律政令等で、この大方針に疑惑を持たすようなものはありませんでしたか。
その言葉を、よく一つ忘れぬようにしておいて下さい。検疫法、検疫法とその施行細則というものがございますが、それはお読みになったことがありますか、大臣。検疫法。
検疫法という法律が出ておるでしょう。検討したことはないということは、どういうわけですか。はっきり書いてありますよ、これに。
じゃ言いますが、検疫法の第四条、「当該船舶を国内」、日本「国内」です、カッコして、「(本州、北海道、四国及び九州並びに厚生省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。」、これは本邦の定義です。一貫した日本の法律における本邦の定義。そうしてその施行細則、施行細則の第一条には、はっきりとどこまでの島ということが、具体的にあがっておるのだが、この施行細則を読んでみても、歯舞、色丹、国後、択捉、沖縄、小笠原は除かれておるのです、日本の領土から。施政権ということがないから除いたとおっしゃるかもしれぬが、それならば、なぜこの重大な法律に、日本の領土はこれとこれだが、現在は施政権がないから、施政権が完全に返還されるまで画定的に外国領扱いにする、
それでは、昭和三十二年の五月の十七日に、ある法律が出ております。というのは、この法律は、外地から引き揚げた者に対して国家が手当を支給する、引揚者給付金等支給法という法律であります。先ほど岸さんにお伺いしたその日であります。その法律には、歯舞、色丹はどういうふうに扱われておりますか、渡邊厚生大臣。
そこにこの歯舞、色丹をはっきり条文の上に現わしておるのですが、それは御存じありませんか。
ちょっと大臣、これ読んで下さい。——渡邊大臣、ここにありますから、これちょっと読んで下さい。——(「読む必要はない」と呼ぶ者あり)引揚者給付金等支給法の第二条、それは定義が書かれておる。その定義の第二条の末項です。「この法律の適用に関しては、「本邦」には、歯舞群島、色丹島及び厚生省令で定めるその他の島は、含まれない」と、本邦に含れまないと、これほどはっきり岸さんの信念を否定した法律はない。これでも疑いがないと言われますか。
それでは、小笠原は施政下にないわけですが、小笠原から引き揚げた人には、これと同じような扱いをしておりますか。厚生大臣。
小笠原も日本の領土であるが、施政権がないのです。歯舞、色丹も、日本の領土であるが施政権はない。その同じ二つのものを、どうして違った取り扱いをしておるのです。
対米交渉の結果、なぜ差別待遇しなきゃならない。同じ条件です。
アメリカから給付金もらいましたか。日本政府からは、渡しておりませんか、小笠原からの引揚者に対して。どうですか。(「おかしいぞ今の答弁」と呼ぶ者あり)もう一回…。
政府委員おらぬか、だれも。だれか知っておる政府委員……。だれも答えられませんか。
それは間違いありませんか。——私は当時の速記録を持って来ております、この法律を出すときの。間違いありませんか。
そのときの田辺政府委員は、こう答えておる。「「その他の島」という中に予想しておりますのは、択捉と国後を予想しているわけでございます。小笠原島は現在アメリカがこれを使っておるわけでございますが、この地域からの内地への疎開者に対しましては、別途行政措置で見舞金をすでに支給しておりますので、この法律の適用の対象にはいたさない考えでございます。」こうなっておる。あなたは、支給しておらないとおっしゃる。
私の言うのは、歯舞、色丹も日本の領土であるが施政権はない。沖繩も同様であるが施政権はない。同じ条件です、日本から見れば。同じ条件であるにかかわらず、取り扱いを一方は見舞金として渡し、一方は給付金としてこの法令で渡すところに、はっきりしないものがあると思う。いかがでありますか。
岸総理。岸総理は、この法律は三十二年五月十七日、法律第百九号をもって公布されております。それに、あなたは総理大臣として署名なさっておる、署名を。そのとき、はっきりここで読みましたように、本法の適用については、歯舞を除くのだと書いてある。そうすると、あなたの絶対に日本の領土であるという主張が、少なくともここに大きな疑惑が持たれ るわけです。これは、どういうふうに署名なさったか。
それでは、将来ソ連が、この法律をたてにとって、日ソ交渉をやるときに、君の国の法律には、本邦に含まれておらないのじゃないか、こう開き直ったときに、あなたは、これにどういうように受け答えをされるか、なぜそれをはっきりしておかれぬのかというのです。
私は、これほど強い一つの信念であるならば、その法律においても、政令においても、ことに施行細則等は政令であります。これに、はっきりそれをなぜなさっておかぬかというのです。 日本という定義を書くのですから、きわめて重大な問題なんです。日本という定義には、領土権と施政権とが包括される、常識です、これは。その領土、施政権ということを意識するならば、これは日本の領土であるが、現在施政権はないから外国並みに扱うという暫定的な解釈を書いておけば、この疑問は起こらないと思う。それをなぜ今日までやってこられないかというのです。
この給付金をやるという法律の建前は、本邦以外の外国から引き揚げた者に国がやるというのです。 そこで、この法律を作るときに、いろいろ問題が起こっておる。北海道関係の人は、歯舞、色丹の一万世帯にやってほしいために、わざわざ入れたんです。こういうことは法律によらずにやれる方法がある、行政措置で。支給金をやろうという、わずか二万そこそこの、それをやろうという方便で、日本の領土権に疑惑を持たすようなことに、あなたはサインをされておる。なぜ別の行政措置で、その引揚者を救おうとなされなかったのか、方便として日本以外の地域にみなしているのです、これは。そこに根本問題というものが、疑惑を受ける。岸総理。